本部から違約金等を請求されたことに対し、本部の債務不履行を指摘したうえ、機器の買取を求めた事案

相談前

  • ご相談企業様は、美容業の本部から指定された機器を購入したところ、不備が多発し説明を受けた性能を有していなかったことから、フランチャイズ契約を解消したところ、本部から違約金等の請求を受けたということでした。

相談後

  • ご依頼を受け、フランチャイズ契約については、本部側の債務不履行により解除されるべきものであり、違約金等は発生しないことを主張し、指定機器については、買取を求めました。
  • 結果的には、違約金等の請求を撤回していただき、指定機器の買取をする内容で合意が成立しました。

弁護士のコメント

(1)加盟店から本部に対する損害賠償請求の根拠

本部は、フランチャイズ契約の勧誘に際し、フランチャイズシステムの内容や契約上の権利義務関係、対象とする商品の市場動向等の見通しについて、信義則上、客観的かつ的確な情報を提供すべき義務を負います。フランチャイズ契約締結後も、指導援助・ノウハウ提供義務があります。
もっとも、中小企業がフランチャイズシステムを立ち上げる多くのケースで、このような契約締結時の情報提供義務や契約締結後の指導援助・ノウハウ提供が不十分である結果、トラブルとなる例が多数見受けられます。
また、フランチャイズシステムにおいては、商品・原材料や機器等について、本部から直接買い入れる必要があるシステムになっているケースも多く見られます。抱き合わせ販売(一般指定10項)、優越的地位の濫用(独占禁止法2条9項5号)、拘束条件付取引(一般指定12項)という競争法の問題もありますが、このような原材料・製品は、フランチャイズシステムによる営業成果に直結することが多いため、原材料・製品の提供義務違反も問題となります。

(2)本部からの請求について

加盟店が上記のように、本部の債務不履行を理由に損害賠償や、フランチャイズシステムからの離脱を望む場合、フランチャイズ契約書には、中途解約等に関する違約金などが設定されていることがあります。
加盟店側から損害賠償や契約の解除を求める場合には、フランチャイズ契約書をよく確認し、本部の債務不履行の程度と、本部から請求されるおそれのある違約金等の規定を吟味することが必要となります。

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