消費者問題・トラブル対策・クレーム対応
1.消費者問題・トラブル対策・クレーム対応のよくある悩み
- 消費者関連法に適合した契約書類(利用規約等)を整備したい
- 広告表示が問題ないかリーガルチェックをしてほしい
- カスタマーハラスメントの対策をする義務ができたと聞いたが当社でも行いたい
- 悪質なクレーマーに対応してほしい
- 従業員が不当なクレームに遭った時に相談できる体制を作りたい
- 消費者から不当な損害賠償請求を受けている
2.弁護士による消費者問題・トラブル対策・クレーム対応サポート
2.1 企業が行うべき消費者問題対策
BtoCのビジネスモデルの場合、消費者を保護するための規制法令があるため、これらの消費者関連法令に適合するように契約関係を整備する必要があります。
具体的には、法定書面含む契約書類や利用規約を整備し、消費者契約法に違反しないよう、規約内容については「無効」とされない内容に、契約勧誘等のフローについては「取消」をされないフローとしていくことになります。また、特定商取引法の規制類型に該当する場合には、特定商取引法の要請も満たしていく必要があります。
2.1.1 消費者契約法
消費者契約法は、情報や交渉力に格差がある消費者を保護するため、一定の場合に、契約を取消し、契約を無効としたり、適格消費者団体から差止請求を主たる内容として定めた法律です。
取引相手が「消費者」であれば、どのような契約類型でも適用されるものであるため、注意が必要です。
契約の取消(消費者契約法4条~7条)は、以下のような不当な勧誘行為に着目したものであるため、契約勧誘のフローや注意点について、社内で整備する必要があります。
- 不実告知(法4条1項1号)
- 断定的判断の提供(法4条1項2号)
- 不利益事実の不告知(法4条2項)
- 不退去(4条3項1号)、退去妨害(4条3項2号)
- 不安を煽る告知(4条3項3号)
- 人間関係の濫用(4条3項4号)
- 判断力の低下の不当な利用(4条3項5号)
- 霊感等による知見を用いた告知(4条3項6号)
- 契約締結前に債務の内容を実施等(4条3項7号・8号)
- 過量販売(4条4項)があります。
契約の無効(8条~9条)は、以下のように、契約内容の不当な条項に着目したものであるため、契約書類や利用規約を整備する際に注意する必要があります。
- 事業者の損害賠償責任を免除する条項(法8条)
- 消費者の解除権を放棄させる条項(法8条の2)
- 事業者に対し後見開始の審判等による解除権を付与する条項(8条の3)
- 平均的な損害額を超える違約金条項(9条)
- 消費者の利益を一方的に害する条項(10条)
2.1.2 特定商取引法
特定商取引法は、事業者と消費者でトラブルが生じやすい取引類型を対象に、一定のルールを定めている法律です。
消費者契約法と異なり、以下のように取引類型に着目した規制であり、取引類型によって規制内容も異なるため、規制されている取引類型にあたるかどうか、当該取引類型での規制内容を検討する必要があります。
- 訪問販売
- 通信販売
- 電話勧誘販売
- 連鎖販売取引
- 特定継続的役務提供(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス)
- 業務提供誘因販売取引
- 訪問購入
特定商取引法の対象取引に該当する場合は、以下のような行政規制があります。
- 氏名等の明示義務(通信販売・特定継続的役務提供以外)
- 再勧誘の禁止(訪問販売・電話勧誘販売・訪問購入)
- 不当な勧誘行為の禁止(通信販売以外)
- 広告規制(通信販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘因販売取引)
- 未承諾者に対する電子メール送付禁止(通信販売、連鎖販売取引・業務提供誘因販売取引)
- 前払い式販売の承諾等の通知(通信販売・電話勧誘販売)
- 書面交付義務(通信販売以外)
特定商取引法の対象取引に該当する場合は、以下のような民事ルールがあります。
- クーリングオフ
- 過量販売解除権
- 中途解約権
- 不実告知取消権
- 適格消費者団体における差止請求
2.1.3 割賦販売法
割賦販売法は、割賦購入(分割払い)、クレジット契約(クレジットカードを利用する場合)などに、消費者保護を図ることを目的とした法律です。
そのため、以下のようなサービスを行う場合には、割賦販売法も確認する必要があります。
- 指定商品につき割賦購入契約(分割払い、自社割賦)
- ローン利用・クレジットカード利用
- 前払式特定取引(定期購読・月額制などの前払い購入)
上記の場合には、個別の類型により異なりますが、主として以下のような消費者保護措置の規制があります。
- 広告規制
- 書面交付義務
- 契約内容の規制(契約解除の制限・損害賠償の制限等)
- クーリングオフ
EC事業者など、オンラインショッピングを提供していたり、IT業のようにデジタルサブスクリプションを提供する場合には、検討が必須の法律です。
2.2 広告問題対策
2.2.1 景品表示法
景品表示法は、消費者の自主的・合理的な選択を阻害するおそれのある行為を規制する法律で、大きく「景品規制」と「表示規制」に分けられます。
景品規制(法4条)は、「商品」「粗品」など顧客誘引のために用いられる本来的なサービスに付随する利益を規制するものです。店頭でくじを引いてもらうキャンペーン(懸賞制限)、来店した方にもれなくプレゼントをするキャンペーン(総付規制)、などを行う際には、景品の上限額に反しないように設計する必要があります。
表示規制(5条)は、商品やサービスを適切に選ぶことができるよう品質や価格に関する広告を規制する法律です。
以下のような表示が禁止されています。
- 優良誤認表示…「品質」が実際よりも良いように見せる表示
※不実証広告は優良誤認表示と認定されますので、何らかの効果・性能について表示する際には、消費者庁に提出できる裏付資料を用意しておく必要があります。
- 有利誤認表示…価格等の「取引条件」が実際よりも良いように見せる表示
- 指定表示…優良誤認表示、有利誤認表示以外に、内閣総理大臣が指定する不当表示があります。いわゆる「おとり広告」などがこれに該当します。
2.2.2 その他の法令、ガイドライン、自主基準
広告の規制には、景品表示法や消費者契約法をはじめとした法令、主務官庁の各種ガイドライン、各業界の自主規制があります。
2.3 クレーム等への対応
2.3.1 カスタマーハラスメント対策
社内のパワハラ・セクハラだけではなく、顧客等からの著しい迷惑行為は、社会問題として認知されてきており、厚生労働省は、令和2年6月、職場内のパワーハラスメントと同様、顧客等からの著しい迷惑行為に対応すべく配慮措置に関する指針を公表しました。
そのうえで、厚生労働省は、令和4年2月、「カスタマーハラスメント」に関し、企業向けの対応マニュアルが作成しています。
同マニュアルにおいて、「カスタマーハラスメント」にあたる例は、以下の類型が例示されています。
要求内容が妥当性を欠く例
- 商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
- 要求内容が商品・サービスの内容とは関係がない場合
手段・態様が社会通念上不相当な例
- 身体的な攻撃(暴行、傷害)
- 精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
- 威圧的な言動
- 土下座の要求
- 継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動
- 拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)
- 差別的な言動
- 性的な言動
- 従業員個人への攻撃、要求
要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合がある例
- 商品交換の要求
- 金銭補償の要求
- 謝罪の要求(土下座を除く)
そのため、対応する企業としては、顧客の要求内容に妥当性があるかどうか、要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲か、(正当なクレームであるかどうか)を判断し、正当なクレームではない、と判断される要求行為についての対応(現場で正当なクレームではないと判断できることを含む)ができるようにしておく必要があります。
具体的には、
- カスタマーハラスメントに関するマニュアルの整備
- 社内対応ルールの従業員等への教育・研修
- 従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
- 正確な事実確認と事案への対応
- 従業員への配慮
- 再発防止への取組
などが必要とされています。
当事務所においては、
①カスタマーハラスメントに関するマニュアルの整備、社内対応ルールの従業員への教育・研修、について対応しております。
人事・労務については、こちらをご参照ください。
②従業員(被害者)のための相談対応体制整備の一環として、弁護士との直通のビジネスチャットを連携するご提案をしております。
顧問契約については、こちらをご参照ください。
2.3.2 クレーム対応
要求内容自体が不当であったり、要求内容に比較して手段・態様が不相当である場合には、不当なクレームであり、毅然とした対応が必要になります。
不当なクレームを放置したり、要求を受け入れていると、要求行為が増大していき、クレーマーがモンスター化していく傾向にあります。
このようなクレーマーへの対応は、厚生労働省のガイドライン上も、従業員への影響(業務パフォーマンス低下、健康不良等)、企業への影響(対応時間の浪費、本来的業務が行えないことの業務的・人員的・金銭的負担、ブランドイメージの低下)、他の顧客への影響(利用環境・雰囲気の悪化、他の顧客が正当なサービスを受けられない)など、さまざまな悪影響があることが指摘されています。
当事務所は、このような会社の対応範囲を超える方に対し、会社の本来的業務に集中し、従業員のストレスを軽減させて職場環境を改善させるため、法的措置を含めた毅然とした対応を代理しております。
また、正当なクレームか不当なクレームか判断が難しい場合もあり、初期の段階で、厚生労働省のガイドラインにも記載のある「正確な事実確認と事案への対応」に関するサポートのため、関係者との直通のビジネスチャットなども対応しております。
2.3.3 対消費者トラブル対応
消費者から契約の取消・無効を求めて商品・サービスに対する料金の返還を求められているケース、商品・サービスに瑕疵・不備があったとして損害賠償を求められているケースなど、消費者側が法的な請求を行うケースもあります。
もっとも、法的な請求がされている場合でも、過剰な要求であることも一定数ありますので、請求されている内容を検討し、交渉ないし訴訟の対応をしていくことになります。
当事務所においては、このような消費者からの契約関係トラブル、損害賠償等への対応も数多く行っております
3.当事務所の特長・費用等
3.1当事務所の特長
3.1.1 相談できる関係・話しやすさを重視
当事務所は、設立以来、クライアントにとって相談しやすい関係性を作っていくことを重視してきました。
顧問弁護士はいるが、相談しにくいというご相談をいただくこともあり、そのような関係性では、法的な問題発見が遅れたり、経営層・担当者の法的問題点の発見・解決を通じた法的リスクへの感度も醸成されず、誤った解決を続けていってしまう可能性があります。弁護士側からしても、小さなご相談でもいただくことで、継続的な関係が深化することで、企業の文化・風土含む考え方やビジネス内容をより深く理解でき、実態に即した適切な解決がご提案できるようになります。
何より、弁護士は、クライアントの味方であるにもかかわらず、味方であるはずの弁護士とのコミュニケーションが苦痛であることはできる限り避けたいと考えています。
そのため、当事務所においては、できる限り話しやすく気軽にご相談いただける関係を心掛けています。
顧問契約では、「相談予約の優先対応」「弁護士の携帯電話・LINE・チャットワーク連携」が全プラン対応しておりますので、よりご相談がいただきやすい体制としています。
3.1.2 多分野・多業種にわたる紛争解決経験・中小企業法務の経験
当事務所においては、一般企業法務から人事労務、債権回収、その他、相続・離婚・交通事故などの個人法務、経営の日常問題まで、多分野・多業種にわたる紛争解決経験があり、紛争解決分野であればほとんどの分野に対応していますので、複雑に絡み合った貴社のトラブルに対応していくことができます。
3.1.3 総合診断者としての弁護士・他士業との連携
日々の会社経営で困った際に、「誰に相談していいかわからない」という相談を受けることも多々あります。
弁護士の業務領域ではない場合でも、専門家の目から見て、適切な相談先を判断しやすいといえます。
当事務所の所属弁護士は、税理士・司法書士・社会保険労務士・不動産鑑定士・その他の隣接他士業とも協力関係にあり、適切な解決ができるようサポートいたします。
3.1.4 ビジネスへの理解
ときに弁護士に相談すると、理論的に考えられる法的なリスクのみ指摘し、ビジネスが進行しないという悪いイメージもあるかもしれません。
当事務所の弁護士は、できる限り貴社のビジネスを理解し、法的なリスクの程度を検討し、柔軟で創造的な解決を探れる情報を提供するよう努めています。
当事務所は、代表弁護士の個人事務所時代から、このような姿勢で業務に取り組み、認定経営革新等支援機関に指定されています。
3.1.5 複数弁護士在籍の弁護士法人
弁護士法人制度は、弁護士法の一部を改正する法律(平成13年6月8日法律第41号)によって創設されており(平成14年4月1日施行)、株式会社などと比べると比較的新しい制度です。
そのため、法律事務所には、いまだ個人事務所が多いといえますが、当事務所は、弁護士法人制度の目的である、弁護士業務の基盤を拡大強化することにより、複雑多様化する法律事務に対応し、クライアントの利便性の一層の向上を図ること、そしてそのために、弁護士に永続性のある組織化した法律事務所である弁護士法人を選択し、社会の多様な要請に対応できる体制を作る、という理念に共感し、弁護士法人化を選択しております。
複数弁護士在籍の弁護士法人であることにより、クライアントに対し、近年の複雑化・高度化・多様化した法的ニーズに対応し、継続的なリーガルサービスを提供していくことができます。
また、個人事務所の弁護士に対して報酬を支払う場合には、源泉徴収義務が発生しますが、このような面倒な手続もありません。
3.1.6 明確かつ適切な費用体系
法律事務所のなかには、料金表がなかったり、料金表があっても、旧日弁連の報酬基準表の抜粋があるのみで、個別案件についてどの程度の料金がかかるのか予測できず、敷居が高いイメージもあったり、企業法務分野では、案件が流動的に派生していくことも多く、事前に定まった金額を提示することが難しい面があり、タイムチャージ方式をとる法律事務所も多くあります。
当事務所においては、顧問契約の内容だけではなく、個別案件についてもできる限り詳細な費用体系を事前に料金表を掲示してご提示し、費用感を事前に予測することができるよう努めています。
3.1.7 顧問会社多数・顧問契約によるさらなるメリット
- コミュニケーションをより取りやすく
- 法務の充実・法務コストの削減
- 対外的信用の向上、交渉上のカードに
- 役員・従業員の福利厚生
- 顧問料はクレジット払、口座振替に対応
顧問契約は、顧問契約のページをご参照ください。
3.2消費者問題・トラブル対策・クレーム対応の費用
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